米国特許審判部(PTAB)が2026年3月、Broad InstituteのCRISPR-Cas9真核細胞用途に関する発明者優先権を支持する審決を確定した。Editas Medical・CVCが異議を唱えていた優先日の有効性が認められたもので、CRISPR遺伝子編集領域における重要な司法判断である。
本審決の争点は、Broad Instituteが主張する優先日が有効であるか、それとも異議申し立て人らが主張する後発日が適用されるべきかという点であった。優先日が確定することは、特許権の存続期間・ライセンス報酬・侵害訴訟における時的利益の範囲に直結する。
CRISPR特許戦争は、Broad Institute系(米国優先)とUC Berkeley系(国際優先)の間で長年続いており、真核細胞用途特許の支配権をめぐる知財紛争として知られている。本審決は、Broad陣営に有利な展開を示唆するものである。
特許請求項では、CRISPR-Cas9が真核細胞(ヒト細胞含む)内で機能する具体的な実装方法が明細書に記載されている。異議申し立て人側は先行技術からの自明性等を主張していたが、PTABはこれらの主張を退けた。
本審決の法的意義は、CRISPR遺伝子治療産業において極めて大きい。Editas Medical・Intellia Therapeutics・CRISPR Therapeuticsなど複数の商業企業がこの特許群に基づく事業展開を行っており、優先権の確定は各企業のビジネス安定性に直結する。
今後の影響として、CRISPR知財ポートフォリオの所有権構造がより明確化し、ライセンス交渉・技術移転の基盤が安定化する見通しである。
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パテント探偵社 編集部
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