Federal Circuit、情報交換システム特許の適格性をあらためて否定――「汎用コンピュータ上の抽象的な思想」は保護されない

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米連邦巡回控訴裁判所(CAFC)は2026年4月7日、情報交換システムに関連する特許出願の適格性を認めないという判決を下した。出願人Brian David McFaddenの出願(出願番号:15/891,363)にある請求項14は、「情報交換の運営・管理方法」として、広告ネットワーク、ソーシャルネットワーク、ダイジェストサービスなど様々な形態の情報流通を規制するシステムを記述していた。連邦巡回控訴裁判所は、この請求項は単なる「抽象的な思想」であり、汎用コンピュータで実装するだけでは35 U.S.C. §101の特許適格性基準を満たさないと判示した。

特許審判部(PTAB)の判断から始まった一連の手続を経ての最終判決である。米特許庁の審査官は最初、McFaddenの請求項を「人間の活動の組織化」に該当するとして§102(先行技術)および§101(適格性)で拒絶していた。PTABはこれに同意し、請求項14が「抽象的な思想を実践的応用に統合する追加的要素を欠いている」と判断した。McFaddenが控訴したのに対し、CAFCはPTABの判断を全面的に支持し、請求項は適格性を欠くと確定させた

CAFCの理由付けは、Alice/Mayo二段階テストの厳密な適用を示す。第一段階(抽象的思想の認定)において、裁判所は請求項の本質を「一つの情報分布を生成し、それを先の情報分布と比較することで、消費者へどのような情報を提示すべきかを決定する」という「マーケティングおよび広告活動」に該当すると判断した。McFaddenの仕様書は「メッセージ」「オーディオクリップ」「ニュース」「広告」と広く定義していたが、この広さ自体が汎用性(および曖昧性)の証拠になった。CAFCは、「情報の収集、評価、および表示の広い段階を記述し、汎用コンピュータの標準機能のみを使用する請求項は、抽象的思想に該当する」と述べた

第二段階(発明的概念の有無)は、より一層厳しい結果をもたらした。McFaddenは、請求項に開示されたアルゴリズムが情報交換機能の改善をもたらし、それが発明的概念を構成すると主張した。しかし裁判所は、このアルゴリズムに関する議論は「再反論段階での後出し主張」(reply briefのみ)であり、控訴審で適切に争われていないとして却下した。さらに仮に実質を審理したとしても、請求項が記述するのは「「情報分布間の差分を高度の一般性で計算する」という「四つの数学式による差分計算」に過ぎず、「汎用コンピュータ上での常規的活動のコンピュータ実装では、発明的概念たりえない」と判断した。

McFaddenが試みた「特殊化されたシステム」論も排斥された。出願人は、請求項が記述する情報交換システムは特殊なコンピュータシステムであると主張し、汎用要素による一般的な特許化は不当だと訴えた。しかし裁判所の見解は異なっていた。PTABの判断によれば、「仕様書にはジェネリックなコンピュータ要素のみが記載されており、請求項は『技術への改善を主張しておらず、汎用コンピュータ要素を経由して実装される数学的操作と決定のみを主張している』」というものだった。特に裁判所は、「技術改善を主張せずに汎用コンピュータ上で抽象的な数学公式を実装することは、技術への改善とは言えない」と判示した。

Means-plus-function請求項としての主張も失敗に終わった。McFaddenは、請求項のいくつかの要素をmeans-plus-function形式として構成され、したがってそれに対応する具体的な構造が仕様書に開示されていると主張した。35 U.S.C. §112(f)のmeans-plus-function条項は、抽象的な機能的記述のみでなく、対応する実施例を仕様書に要求する。しかし裁判所は、仕様書の開示構造は「汎用コンピュータ要素上で動作するソフトウェア」に過ぎず、これは「追加的アルゴリズム改善を何ら提示していない」と判断した。

本判決が示唆する実務的インパクトは大きい。ソフトウェアやビジネスモデル特許の分野では、§101適格性はますます厳しくなっている。汎用コンピュータやネットワークを使用するだけでは、特許適格性を獲得するのに十分ではない。特許出願人(特にスタートアップやSaaS企業)は、単に「データを比較して意思決定をする」というレベルの特許請求項では保護を期待できない。代わりに、特定の技術的改善、ハードウェアの創意工夫、またはコンピュータ技術そのものへの貢献を具体的に示す必要がある。オープンソース企業、FinTech企業、マーケットプレイス企業は特に注意が必要だ。多くのビジネスモデル特許が本事件の基準を通過できず、保護を失うリスクがある。

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パテント探偵社 編集部

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