欧州特許庁(EPO)手数料が4月1日から約5%値上げ——AI関連出願急増で業務量増加

知財ニュースバナー 知財ニュース

欧州特許庁(EPO)は4月1日、公式手数料の値上げを実施した。2024年以来となる初の大幅改定で、先行技術調査料、審査請求料、指定国追加料などの基本的な手数料が約5%上昇する。一方、異議申し立て手数料と上訴手数料は据え置かれた。

今回の値上げの背景には、EPOの業務量の増加と高い運営コストがある。EPOは公式声明で、この5年間に出願件数が大幅に増加し、特にAI技術や半導体関連の出願が急増していることを指摘している。手数料改定は2年ごとに実施することが現在の方針となっており、今回は通常サイクルへの復帰である。

実務的な影響として、多くの出願人が4月1日前に着願や審査請求、指定国追加を済ませることで、現在の手数料適用を受けることが可能だ。特にポートフォリオ管理において複数国への同時指定を計画する弁理士・企業知財部門にとって、タイミングは重要な戦略となる。

一方、反発する声も上がっている。欧州弁理士会など業界団体は、革新企業にとって特許出願コストの増加は競争力低下につながると主張し、公開協議期間にEPOに意見を提出していた。実際、スタートアップや中小企業がEPOに出願する際のコスト負担はさらに重くなることになる。

一方で、EPOは同時に2026年版の審査ガイドラインを改定し、4月1日から適用を開始した。改定内容にはAI関連出願の取扱い明確化、カラー図面処理の詳細化、医療用途追加クレームの充足性要件の新章設置などが含まれている。特にAI出願に関する指針の拡充は、業界から大きな期待が寄せられている領域だ。

EPOの手数料体系は世界的な知財出願戦略に影響を与える。今回の値上げとガイドライン改定により、欧州市場への出願計画も含め、国際的なポートフォリオ管理戦略の再検討を迫られる企業・弁理士も少なくない。

この記事について

パテント探偵社 編集部

知的財産の世界で起きている出来事を、ジャーナリズムの手法で報道・分析する独立メディア。特許番号・法的根拠・当事者名を正確に記述しながら、専門家以外にも読みやすい記事を届けています。掲載内容は法的アドバイスではありません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました