米国特許商標庁(USPTO)は2026年4月10日、特許出願の積滞(バックログ)削減において重要なマイルストーンを達成したと発表した。2026会計年度(FY2026)内の累積審査着手件数が累積新規出願件数を初めて上回り、約10年ぶりに「処理が出願を超えた」状態が実現した。
主な数値
USPTO発表によると、2026年4月6日時点の未審査特許出願件数は776,995件となり、2年間で最低水準まで低下した。2025年1月には837,928件という直近の最高値を記録していたため、約1年3ヶ月で約6万1,000件の削減が達成されたことになる。同庁は、FY2026の第3・第4四半期(例年最も生産性の高い時期)にかけて積滞がさらに着実に減少すると見込んでいる。
また、積滞削減が達成されたと同時に、FY2026の特許品質に関する法定コンプライアンス目標もすべて達成している点も強調された。これは審査速度の向上と品質維持が両立できることを示す。
USPTO長官の声明
ジョン・A・スクワイアーズUSPTO長官(商務省知財担当次官)は下院司法委員会知財小委員会での証言にも触れながら次のように述べた。「積滞解消と品質向上は両立できる——それを証言で述べた通りに実証しました。この数字は重要な転換点を示しています。今や出願人に有利な勢いが生まれています。また、新しいDesjardins判例や適格性開示提出プログラムの下でより多くの新規出願を適切に受け入れながら、これを達成できたことを特に誇りに思います」
AI審査支援プログラム(ASAP!)の役割
積滞削減を支える施策の一つとして、USPTOは2025年10月にASAP!(AI Search Automated Pilot Program:AI特許検索自動パイロット)プログラムを開始した。同プログラムは内部AI特許検索ツールを使用し、審査に先立って出願人に潜在的な先行技術参照文献のリストを自動提供する。出願人が実質審査前に自らのクレームの特許性を評価できる機会を与えるもので、審査プロセス全体の効率化に寄与している。ASAP!は評価継続のため2026年6月1日まで延長されている。
36ヶ月超の積滞解消目標
USPTOはさらに、審査着手まで36ヶ月を超えてしまう古い未審査出願を「ほぼゼロ」にするという積極的なFY2026年度目標も設定しており、その早期達成が視野に入ってきた。スクワイアーズ長官は出願人が審査結果を受け取るまでの待機時間を大幅に削減することに引き続き取り組むと強調した。
背景
USPTOの特許審査積滞は長年の課題であった。コロナ禍後の出願急増などを背景に積滞は拡大し、2025年初頭に約84万件のピークを迎えた。今回の発表は、2024年12月に就任したスクワイアーズ長官のもとで進めてきた審査体制強化と業務効率化の成果が数字に現れた節目として位置づけられる。
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パテント探偵社 編集部
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