Gamevice、Nintendo Switch特許訴訟での手続き的矛盾を問題視し最高裁上訴申請を検討——CAFC判断の論理的整合性に疑義

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携帯型ゲームデバイス用アクセサリの特許侵害を巡るGamevice, Inc.対Nintendo Co., Ltd.の訴訟が、2026年4月に新たな局面を迎えている。連邦巡回区控訴裁判所(CAFC)での手続き上の矛盾を問題視したGameviceは、最高裁への裁量上告(certiorari)申請を検討していることを2026年4月23日に明らかにした。事件番号は第24-1467号(CAFC)で、本件は侵害認定と無効認定が論理的に矛盾する形で両立してしまった稀有な特許訴訟として、手続き法の観点から実務家の注目を集めている。

訴訟の背景

Gameviceはゲームコントローラーをタブレット端末の両側に装着するグリップ型周辺機器に関する特許群を保有し、任天堂の携帯ゲーム機Nintendo Switchがこれらの特許を侵害すると主張してカリフォルニア州北部連邦地裁に提訴していた。同地裁は略式判決において、「Nintendo SwitchはGameviceの特許クレームを侵害しない」という非侵害認定を下す一方、「Nintendo Switch自体がGameviceの特許クレームを先行技術として無効にする」という無効認定も同時に下した。通常、「侵害しない」と認定された製品が同一特許を先行技術として無効にするという両立認定は論理的な矛盾をはらむとして争いとなっていた。

連邦巡回区での審理経緯

2026年1月、CAFCは事件番号24-1467の判決において地裁判断を維持した。その際、CAFCは差戻しを命じ、任天堂が地裁に対して先行技術無効認定の部分的取消しを申し立てることを前提とした。Gameviceはこの構造を批判し、CAFCが口頭弁論中に任天堂がなした「差戻し後に修正申立てを行う」という言質を根拠に判断を組み立てた点で、手続き的問題があると主張した。2026年3月23日、CAFCの全員法廷(en banc)はGameviceの再審理請求を却下した。

2026年4月の動向

2026年4月6日、任天堂はカリフォルニア州北部連邦地裁に対し、先行技術による無効認定部分の取消しを求める申立てを提出した。4月20日、Gameviceはこの申立てに反論する書面を提出し、任天堂が取消しを求める法的根拠が存在しないと主張した。

Gameviceが指摘する手続き的瑕疵は二点ある。第一に、連邦民事訴訟規則(FRCP)第59条は判決の修正申立てを判決後28日以内に行うよう定めているが、任天堂の申立ては差戻し後の提出であり、当初判決から28日以内ではなかったとGameviceは主張する。第二に、CAFCが口頭弁論中の任天堂の発言を信頼して差戻し命令を組み立てた点が、28 U.S.C. § 1295(a)(1)が定めるCAFCの上訴管轄権(地裁の「最終判決」に対してのみ及ぶ)の範囲を逸脱するとする。また、矛盾する認定を放置することが、司法的禁反言(judicial estoppel)の原則に反する特許事件固有の例外を創出すると論じ、この点での最高裁への裁量上告申請を検討していることを明らかにした。

実務的示唆

本件が提起する「非侵害認定と先行技術無効認定の論理的矛盾」は、特許訴訟の抗弁構造において稀ながら生じうる問題である。被告が「私の製品は特許を侵害しない」と「当該特許はいずれにせよ無効だ」の二段階抗弁を提出し、裁判所がいずれも認容した場合、相互に矛盾する認定が共存する状態が生じる。この問題の解決方法については明確な先例が存在するわけではなく、最高裁が本件で見解を示す機会があれば、特許侵害訴訟の手続き法に重要な影響を与えうる。なお、Gameviceの最高裁上訴申請はあくまで「検討中」の段階であり、実際に申請がなされるかどうかは今後の動向を注視する必要がある。

この記事について

パテント探偵社 編集部

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