米国連邦巡回控訴裁判所(Federal Circuit)は2026年4月8日、情報交換システムに関する特許出願(出願番号15/891,363)を対象としたIn re Brian McFadden事件において、米国特許審判部(PTAB)が同出願のクレーム14を35 U.S.C.§101の下で特許不適格と判断した決定を支持する判決を下した。出願人が自ら訴訟代理を務めた同事件では、「情報交換の運営・規制・管理」を目的とするシステム・方法に関するクレームが争点となり、抽象的アイデアの域を出ないとして退けられた。
同出願は2018年2月にBrian David McFaddenが出願したもので、発明の名称は「System and Methods for Operating an Information Exchange」(情報交換を運営するためのシステムおよび方法)である。特許審査の過程でUSPTO特許審判部(PTAB)はクレーム14を§101に基づいて不適格と判断し、McFadden氏はこれを連邦巡回控訴裁判所に上訴した。
Alice Corp. v. CLS Bank(2014年)以来確立された二段階テスト(Aliceテスト)の下、連邦巡回控訴裁判所は以下の二点を理由として原判断を支持した。第一に、McFadden氏がステップ2の議論を「反論書においてのみ初めて提起した」という手続上の問題から、同議論は「当裁判所の審理対象として適切に提起されていない」と判断した。第二に、仮に本案審理を行ったとしても、コンピュータを介した汎用的なアルゴリズムの実装は、抽象的アイデアを特許適格な応用へと変換する「発明的概念(inventive concept)」を構成しないと結論付けた。
裁判所は判決文の中で、「クレーム14は、この抽象的アイデアを特許適格な応用へと変換するのに十分な発明的概念を含んでいない(claim 14 does not contain an inventive concept sufficient to transform this abstract idea into a patent-eligible application)」と明示した。さらに、「ルーティンまたは慣行的な活動のコンピュータを介した実装は、発明的概念を提供するのに十分ではない」と従来の法理を改めて確認した。
§101に関する米国の実務においては、情報交換・金融取引・データ処理を中心とした多くのソフトウェア関連発明が抽象的アイデアとして拒絶される傾向が続いている。本判決もその流れに沿ったものであり、出願人が§101の適格性議論を適時かつ適切な手続的タイミングで提起することの重要性を改めて示すものとなった。
§101をめぐる議会の立法動向については、2025年に再提出されたPatent Eligibility Restoration Act(PERA)が米国上院で継続審議されている。同法案は§101の適格性要件を大幅に緩和し、現行のAliceテストを実質的に廃止することを目指すものであるが、2026年4月現在、成立の見通しは立っていない。本判決は、立法による制度変更がない限り、コンピュータ実装発明に対する厳格な適格性審査が当面継続することを示している。
同事件では出願人が弁理士・弁護士を立てず自ら代理を行ったが、手続法上のミス(ステップ2の議論を反論書で初めて提起したこと)が判断に影響した可能性も指摘されており、ソフトウェア・ビジネスモデル関連発明の出願戦略において、§101適格性についての早期かつ適切な議論構築の重要性が浮き彫りになっている。
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パテント探偵社 編集部
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