米国特許商標庁(USPTO)が発行した新規実用特許の6週間移動平均による特許期間調整(Patent Term Adjustment, PTA)が、2026年4月中旬時点で318日に到達した。この水準は、USPTOが2010年代初期の審査滞貨を処理していた2015年当時の水準に近い。
特許期間調整(PTA)とは
35 U.S.C. § 154(b)に基づき、USPTOは以下の審査期間保証を提供している:
- 最初の拒絶理由通知は出願から14ヶ月以内
- 出願人提出物への応答期間は4ヶ月以内
- 審査終了(特許付与または最終的却下)は出願から3年以内
USPTOがこれらの期限を逃した場合、特許期間は日数対応(day-for-day)で延長される。基本的な特許期間は出願日から20年だが、実際の発行日が遅延した場合、その遅延日数が特許期間に加算される。結果として、新規発行特許の平均PTA値は、USPTOの業務遂行能力を測定する指標として機能している。
PTA推移:2015年から現在まで
Dennis Crouch氏の分析によると、2015年の平均PTA は約320日に達していた。その後6年をかけて、USPTOは着実に数値を低下させ、2021年中期には約120日の最低値に到達した。これはCOVID-19パンデミック期の出願件数減少の影響も受けている。
しかし、この改善は急速に反転している。PTAは2021年中期の120日から、わずか5年で318日へとほぼ3倍に増加した。2025年12月には296日に達し、2026年4月時点で318日に上昇している。
滞貨解消6年の努力が失われつつある
USPTOは2015年から2021年の6年間を費やして、審査滞貨を大幅に削減した。ところが、その成果は完全に反転し始めている。現在発行される平均的な実用特許は、基本的な20年の期間に加えてほぼ1年追加の期間を獲得している。これはすべてUSPTOの遅延によって補償された期間である。
最近の上昇傾向は平坦化の兆候を示していない。Director Maureen Squiresの「最も古い事件を優先する」方針が一部の効果をもたらしているものの、全体的なトレンドは改善に向かっていない。
特許出願人への影響
PTA の上昇は、特許出願人にとって複雑な影響をもたらす:
- 利益側面:出願人は追加の特許期間を自動的に獲得し、その間のロイヤルティ収入を延長できる
- 不利益側面:審査期間の長期化は製品市場投入戦略に不確実性をもたらし、競争環境の変化に適応できない期間が生じる
統計ダッシュボード
USPTOは特許期間調整のリアルタイムダッシュボードを公開しており、週次の最新データを追跡できる。
PTAの再上昇は、USPTOの審査体制に対する根本的な課題を示唆している。2030年に向けた出願トレンドと予算配分の戦略的判断が、米国特許制度全体に影響を与える可能性がある。
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パテント探偵社 編集部
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