特許訴訟の地裁移行加速——PTABのIPR制限提案が業界を揺るがす

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米国特許庁(USPTO)が提案した「IPR(Inter Partes Review:公開後再審査)」の制限措置が、米国の特許訴訟構図を大きく変えようとしている。2026年初頭の提案から数ヶ月で業界への影響が顕在化し、特許権者・被告企業双方が戦略見直しを迫られている。

IPRは2011年のAIA法改正で導入された制度であり、被告企業が特許は無効であると主張して、特許庁傘下のPTABで無効化を求める手続きだ。従来、特許侵害訴訟で被告企業はIPRを併行して申し立てることで、地方裁判所での本訴と並行して、より低コストで特許有効性に異議を唱えることができた。

USPTOの2026年1月提案は、IPRの対象特許をより限定化する内容である。具体的には、出願後一定期間を超えた特許や、既に裁判で争われている特許に対するIPR申し立てを制限する方針が示されている。

実務への影響は直後から現れた。テクノロジー企業・製薬企業を中心に、訴訟戦略の見直しが急速に進んでいる。統計によれば、テクノロジー産業における特許訴訟件数の93%が二次市場特許に関わるものである。

地方裁判所での特許訴訟は、IPRと比べて費用が高い。被告企業にとっては訴訟コストの上昇を意味し、一方、特許権者にとっては権利実行の機会が増す。IPR制限は特許権者有利の市場環境をもたらすということである。

国内の知財企業・弁理士事務所でも、米国特許訴訟戦略の見直し相談が増加している。特に医薬・バイオテクノロジー企業では、特許侵害訴訟における防御戦略の再構築が急務となっている。

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パテント探偵社 編集部

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