米国著作権庁(Copyright Office)が、AI学習と著作権に関する包括的レポートの第2部を公表した。2025年1月29日付で発表されたこのレポートは、AI生成物の著作権保護、学習データの法的性質、人間創作要件など、AI時代の著作権制度に関わる根本的な問題に答えている。2026年現在、その内容は米国知財実務のスタンダードとなっている。
米著作権庁は、著作権保護の対象は人間による創作物のみであり、AI生成物は著作権登録対象外となると明示した。ただし、人間がAI出力に対して有意な創作的改変を加えた場合は、その改変部分については著作権保護の対象となり得るという、微妙な基準を提示している。
レポートでは、生成AIモデルの学習に著作物を使用する場合、それがフェアユースに該当するかどうかは、具体的な事情に基づいて個別判断されるという原則的な立場が示されている。つまり、単に機械学習なら許容されるというものではなく、学習目的・利用形態・元の著作物との関係性などを総合的に考慮する必要があるということである。
この判断基準は、現在進行中のOpenAIなど生成AI企業に対する著作権訴訟の行方にも大きく影響する。
実務的には、この基準が「AI開発企業のリスク管理」を大きく変えている。従来、AI企業は「公開データなら学習対象にできる」という前提で大規模データ収集を進めてきた。だが著作権庁の見解では、公開性だけでは「フェアユース」要件を満たさず、営利的な利用目的が変容的利用に該当するかが重要になる。
創作者側は、AIを使用した経緯・改変内容を明確に記録する必要が生じている。これは単なる手続き問題ではなく、知的財産戦略そのものの変化を意味している。
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パテント探偵社 編集部
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