米国特許商標庁(USPTO)は2026年4月初旬、任天堂が保有する「サブキャラクターを召喚し1対2のモードで戦わせる」方法に関する米国特許(以下「召喚・戦闘特許」)の全26クレームを非最終拒絶(non-final office action)とした。USPTOのジョン・スクワイアーズ長官が同特許の職権再審査(ex parte reexamination)を2025年11月に命じたことに続く措置で、1981年以降に受理された約1万5,000件の再審査請求のうち命令が下されたのは175件にすぎないとされており、長官の職権発動としては異例の対応として業界の注目を集めていた。
拒絶理由は自明性(obviousness)であり、審査官はコナミが2002年に出願した先行特許および任天堂が2019年に出願した別の特許を主要先行技術として引用した。審査官は、これらの先行技術を当業者が組み合わせることで当該クレームに記載された発明に到達可能であると判断し、進歩性を否定した。非最終拒絶の段階では、特許権者は通知から2カ月以内に意見書・補正書を提出することができる。
今回の拒絶対象となった特許は、任天堂が2024年9月にポケットペア社(Pocketpair、Inc.)を日本の東京地方裁判所に提訴した際に引用した3件の日本特許とは別個の米国出願である。したがって、直接的に進行中の日本訴訟の主張を左右するものではない。しかし、同特許が最終的に無効となった場合、同種のゲームメカニクスに基づいたキャラクター召喚・戦闘の概念を広範に排他権で保護することの困難さを示す事例として、業界全体に影響を与える可能性がある。
また、特許請求の範囲が広すぎると判断された場合は、より狭い範囲への補正を通じて一部クレームが残存する可能性がある。任天堂がUSPTOの審査官と手続きを継続した後、最終拒絶に至った場合は審判部(Patent Trial and Appeal Board、PTAB)へ、さらには連邦巡回控訴裁判所(CAFC)へと不服申立てを進める選択肢も残る。
日本特許庁(JPO)においても関連する動きがある。複数のメディアが、任天堂が出願した「モンスター捕獲」に関連する20件超の特許出願についてJPOが拒絶査定を下したと報じた。先行技術としては「ARK: Survival Evolved」「モンスターハンター4」「Craftopia」「Pokémon GO」などが引用されたという。ただし、これらJPO拒絶は当該ゲームメカニクス特許出願群の審査段階における判断であり、実際の訴訟で争われている登録済み特許を直接無効化するものではない。
任天堂・ポケモン社対ポケットペア訴訟は東京地裁で係属中であり、中島基行裁判長が審理を担当している。報道によれば審理は2026年も継続する見通しである。USPTOによる今回の非最終拒絶は任天堂が手続きを通じて克服できる可能性を残しており、訴訟の帰趨に直接影響するものではないが、ゲームメカニクスを対象とした特許権の射程をめぐる議論は今後も続くとみられる。
任天堂・ポケットペアいずれも本件に関するコメントを公表していない。
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パテント探偵社 編集部
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