米国際貿易委員会(ITC)は2026年4月9日、一般消費者向け(OTC)局所リドカインパッチ(Over-the-Counter Topical Lidocaine Patches)に関する特許侵害調査を正式に開始した。連邦官報(Federal Register)が2026年4月14日付で公示した通知によれば、調査対象はイリノイ州レイクフォレストに本拠を置くJ.A.R. Laboratories LLCが保有する米国特許第12,109,181号(「’181特許」)のクレーム1および5への侵害の有無であり、5社の輸入者・販売業者が被申立人として調査対象に指定されている。
J.A.R. Laboratoriesは2026年3月10日に申立書をITCに提出し、同月23日・30日に補足書面を追加した。申立人は、被申立人各社がリドカインパッチを中国等から輸入または輸入目的で販売しており、上記特許を侵害していると主張している。ITCの調査開始は、特定の要件を満たす申立があった場合に関税法337条(Section 337)に基づいて義務的に行われるものであり、調査開始自体が侵害の認定を意味するわけではない。被申立人には久光製薬(Hisamitsu Pharmaceutical Co. Inc.)やアイルランドの後発医薬品大手Perrigo Co.などが含まれるとされる。
Section 337調査は通常、申立受理から約15〜18ヵ月で最終決定に至る。ITC行政判事(ALJ)が調査を主導し、侵害の有無および国内産業(domestic industry)要件の充足を審理する。侵害が認定された場合、被申立人各社の製品に対する「限定的輸入排除命令(limited exclusion order)」および「停止命令(cease and desist order)」の発出が申立人から求められている。輸入排除命令が発効すれば、対象製品は米国税関により輸入が差し止められる。
‘181特許はOTC局所リドカインパッチの製剤・製造に関する特許とみられる。リドカインを含有するOTCパッチは、腰痛や筋肉痛の緩和を目的として米国で広く販売されており、市場規模は数億ドル規模と推定されている。後発品(ジェネリック)や輸入品が市場に参入している中で、J.A.R. Laboratoriesは今回のITC申立によって国内市場での排他的地位確保を図っているとみられる。
本調査の進捗はITC公式ウェブサイト上のSection 337係属調査リストで随時確認できる。今後の審理日程や中間処分についても注視が必要だ。
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パテント探偵社 編集部
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